女心は複雑なのよ

夫婦喧嘩 i
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女心って複雑ですよね、ほんと。
なんていうと美化された表現のように聞こえますが。

はっきり言って、ただの面倒くさい女なのでありますまったくもう。
ほとほと自分でも嫌になってしまいます。

実家に帰ります、なんて言っているくせに、帰る気なんて微塵もないわけです。
それならそんなこと言うなと言われても、ぐうの音も出ません。
我ながら、盛大に突っ込んでやりたいくらいです。

それでも、どうしても、期待せずにはいられなかったのです。
いつかどこかで見たような、トレンディ―ドラマさながらの展開を。
「もう帰る」なんて言う女を、「ちょっと待てよ」とか言って男が引き留めるという、お決まりのくだり。

しかし、現実はそんなに上手くはいかないものです。
かといって、おっとは「勝手に帰れ」なんて怒り出すわけでもありませんでした。

ただただ優しい、という斜め上の切り返し。
疲れているみたいだから、実家でゆっくり休んでほしいと、気遣ってくれたのです。

本当にありがたいことです。
なんて心根の優しい人なのだろうとつくづく思います。

だがしかし、いかんせんあの時の私は、そんな思いに浸る余裕もありませんでした。
予想外の展開に、戸惑うばかりでした。

この時点で素直に謝ればよかったのです。
どうして粘ってしまったのだろう。

それでもなお、おっとは優しかったのです。
今度は帰り道の心配までしてくれました。

それなのに、私はもう引き返すことができませんでした。
最後の最後まで、私の中のくだらないプライドが邪魔をしたのです。

こうして、わざわざ時間とお金をかけて、少しだけ遠方の実家へ帰ることになってしまいました。

あまのじゃくも、意地っ張りも、どちらもいいことなんて一つもありません。
わかっているはずなのに、どうしてそんなことをしてしまうんだろう。

後悔は尽きないけれど、この気持ちだけは大切にしようと改めて思うのです。

優しすぎるくらいに優しいおっとと、夫婦になれたことを感謝します。
そして、そんなおっとに相応しいつまになれるよう、日々精進します。

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